この解離曲線、私どもは2006年初めて生成装置を開発した時につくりました。今となっては何を参照したかは定かでありませんが、他社さんが採用されている出典は使わないと決めていたことを思い出します。解離曲線については各社のHPに載っていますが、コピペされているものも多く見うけられます。せめて出展は明らかにされたいものです。
次亜塩素酸の解離曲線については数十年も前に研究されており、今では業界に広く知られるようになってきましたが、それでも「次亜塩素酸ナトリウム」と「次亜塩素酸」の違いを理解することなく混同する方が時々おられます。
「次亜塩素酸の科学」p17~18にはつぎのように書かれています。
次亜塩素酸の解離定数(pKa)は約7.5であることからpH 7.5においてHOClとOCl- の比率は1:1となる。pHがアルカリ性に傾くと、HOClの解離度が大きくなりOCl- 存在割合が増加する。pH が酸性側に傾くと、OCl- は徐々にプロトン化して非解離型となる。弱酸性領域(pH4~6)では、非解離型のHOClが高比率で存在する。このpHに依存したHOClとOCl-の存在比率が、洗浄、殺菌、漂白、脱臭の作用効果を支配している。
さらに、塩酸を加えてpHを強酸性領域にすると、HOClの一部は溶存塩素(Cl2)に変化し、未溶解分子は気相中に飛散する。“混ぜるな危険”という表記は、この塩素ガス発生の危険を警告するものである。
HOCl + HCl ⇄ Cl2 + H2O
さて、弊社ではHPや説明資料に使用している次亜塩素酸の解離曲線に手を加えました。スライドのタイトルこそ「次亜塩素酸の解離曲線から解る塩素の働きの違い」と変わりませんが、グラフの曲線をプロットした元となるデータの出典を記載しました。それに伴い酸性領域のグラフが少し変わりました。
6.00 ≦ pH の領域においては、厚生労働省の循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアルについてより。ここでは、アルカリ性の温泉水では、塩素系薬剤の消毒効果が低下する理由は何ですか?という質問に対する答えとして載っています。
pH > 6.00 の領域においては、ProMinent Academy for Water Technology のDr. Thomas Winker 氏によるデータを同社の技術資料よりお借りしたものです。
スライドを下に示しますので、ご覧ください。