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NITEの発表について、ワーウォマンスリーレポート第23号に書きました。

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何じゃ、これは!?

そう思ったのは私だけじゃないでしょう。真面目に次亜塩素酸の事業に携わっている人の多くがそう思ったに違いありません。

敢えて1週間ほど沈黙して周りの様子を見ていましたが、いくつかの点で疑問に思うことがありますので書くことにしました。若干、専門的になりますが。

1.次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸、あなたは正しく理解していますか?

アルコールが市場から姿を消したことで、代替消毒剤がクローズアップされたことに端を発したのが今回の騒動だと私は見ていますが、厚労省を始めとし経産省・NITE、防衛省と多くの役所のHPには、決まってキッチンハイターが登場します。  実は、これに先立つ3月19日、NHKは「おはよう日本」で新型コロナウイルスの予防策の一つとして次亜塩素酸ナトリウムを利用しようという内容を報道していました。

市販の塩素系漂白剤をキャップ1杯(25ml)取り1ℓの水道水で希釈する(希釈倍率は40倍)と、0.05%(=500ppm)の濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液ができるので、それを布巾に付けてドアノブなどを拭けば良い、ということでした。ただし、次亜塩素酸ナトリウムには欠点もあり、濃度が高くなると肌荒れを起こすので注意が必要だとのことです。(放送の内容、赤字は筆者記入
NHKのコメント:「おはよう日本」では、数字は正しく言っております。参考にしたのは花王のHPで、家庭用の塩素系漂白剤ハイターの残留塩素濃度は数%ということでした、と言われました。(NHKふれあいセンター 0570-066-066 で確認)
濃度を謳うのであれば、元々の濃度がはっきりしていないと書けないのではないか?

そこで検証してみました。結果は、キッチンハイターの原液はpH11.8塩素濃度6%でした。次亜塩素酸ナトリウムでしたね。手元に60倍に希釈したデータがありましたので、それを見るとpH10.4 塩素濃度980ppmとありました。依然としてアルカリ領域にあります。すなわち、次亜塩素酸ナトリウム希釈液だということです。

一方で、WahWは弱酸性の次亜塩素酸水溶液。pHは5.5~6.5、残留塩素濃度200ppmです。このpHでは含まれる塩素は「次亜塩素酸」で、特徴としては弱酸であり、溶液のpHに依存してOCℓ-とH+に解離することです。
これを解り易く図示したのが、次亜塩素酸の解離曲線と言われ、pH に依存した次亜塩素酸の存在比率が変化し、洗浄、殺菌、漂白、消臭の作用効果を決めているのです。(弊社HP参照)
弱酸性領域では次亜塩素酸の存在比率が高く、ほぼ100%となるので次亜塩素酸は、殺菌因子と言われるのです。

しつこいようですが、次亜塩素酸ナトリウム希釈液の使い方についておさらいしておきます。
見てきたように次亜塩素酸ナトリウム希釈液は強アルカリ性であり、その強い酸化力から様々な分野で消毒に使われています。強力なために次のことに注意が必要です。
① 人体には使わない。
キッチンハイターを直接触ったことがある人は、ぬるっとした感触を覚えていませんか?
これは皮膚のタンパク質が、強アルカリ性の次亜塩素酸ナトリウムによって溶かされているからなのです。60倍に薄めても、なおpHが10.4とアルカリ性ですから、こんなモノを人体に使ってはいけません。
② 強力な漂白力に注意。
次亜塩素酸ナトリウムは、強力な漂白剤です。衣服等に付着すると色落ちします。
③ 金属を侵す。
次亜塩素酸ナトリウムは、強アルカリ性であり酸化剤であるために、金属を強く侵すことがあります。
④ 人体やペットの生体には絶対に取り込まない。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液は生物に有害です。食べる、飲む、吸い込む、注射するなどして体内に入れないようにしてください。トランプが言うことを聞かないように。

こんな物質、経産省やNITEが言うまでもなく、人体には使いませんよね。間違い易いような報道には気を付けなければなりません。

2.次亜塩素酸水と次亜塩素酸水溶液の違いは何でしょう?

「次亜塩素酸水」は殺菌料の一種であり、塩酸または食塩水を電解することにより得られる、次亜塩素酸を主成分とする水溶液である。わが国では平成14年6月に食品添加物として指定されている。食品、添加物等の規格基準(昭和34年12月厚生省告示370号)において、「次亜塩素酸水」は、最終食品の完成前に除去しなければならない」等の使用基準及び成分規格が定められている。(厚労省)
一方で、私たちが生成しているのは希釈混合方式(pH調整方式)と呼ばれ、次亜塩素酸ナトリウムを薄めた後、酸性溶液(塩酸等)で弱酸性にpH調整する方式です。方式が異なるので「次亜塩素酸水」と名乗ることができないのです。(平気で「次亜塩素酸水」と名乗っている会社は多いですが。)
さて、次亜塩素酸水溶液ですが、生成方法は違うものの液性は同じですので、pH、残留塩素濃度(ppm)が同じであれば同じ働きをします。もちろん食品添加物とは謳えませんが、濃度の濃い次亜塩素酸水溶液を生成することができる点は利点でしょう。

3.「次亜塩素酸水」の空間噴霧について(ファクトシート:令和2年5月29日現在)

現時点において、「次亜塩素酸水」の新型コロナウイルスへの有効性は確認されていないで始まったファクトシートですが、噴霧に関する衛生当局の見解では、WHOも、CDCも、中国CDCも、はたまた厚生労働省までもが、次亜塩素酸を含む消毒薬は安全上の問題があるので、噴霧してはならない、と書かれています。
これはどう見ても、次亜塩素酸ナトリウムの希釈液のことを指しているとしか判断できないのですが、業界の人ではなく一般の人が見るとどのように受け止めるでしょうか?
またNITEは、6月4日販の“よくあるお問い合わせ”で、「次亜塩素酸水」の空間噴霧は行ってもよいのですか?の問いに対して、空間噴霧は対象になってない、とか、噴霧利用の是非について何らかの見解を示した事実はない、と回答し、ファクトシートも、経産省やNITEとして何らか見解を示すものではない、と言っています。

次亜塩素酸水溶液による空間除菌は、弊社では長年にわたり事業として行っています。その間、多くのお客様に喜んでいただいていますし、健康を害された報告はありません。
三重大学大学院の福﨑智司教授とは、私も空間除菌をテーマに多くの課題に取り組んできました。その一部は、教授の著書で、わが国では次亜塩素酸についての唯一の参考書と言われる、「次亜塩素酸の科学」の第7章 次亜塩素酸水溶液の超音波霧化による施設環境の殺菌 に記載されています。(なお、この書籍の内容は5か所もファクトシートに参考として引用されています。)
詳細は、この書籍を参照していただきたいのですが、7.2 超音波霧化による液性の変化 の中でFAC(遊離有効塩素)の消失率はpH6で25~95%、pH10で10~90%と幅広く変化する。と書かれています。(P94)
通常では、pH6、50ppmで空間噴霧していますが、かなりの消失率があることを考慮すると体内に入る次亜塩素酸はさらに低く抑えられているということです。

今年の年末には、新しいモデルの専用霧化器を開発し、発売する予定です。それを契機に改めて皆さんに役立つデータを、数多く取り直したいと考えています。

4.役所や外郭団体、マスコミの発表に振り回されていませんか?

5月29日の経産省・NITEの発表、それに続くマスコミ等の報道により、弊社のお客様からは連日のように問い合わせがあります。でも、しっかり正しいことを説明すれば理解され、安心して使ってくださいます。
私たちのご愛用者様の一部は、お客様や保育園・学校などでは父兄の行動に神経を尖らしておられ、今更ながら国やマスコミの影響力の大きさに驚いています。
前述した三重大学大学院の福﨑智司教授は、著書の「次亜塩素酸の科学」の前書きで次のように述べています。
「次亜塩素酸は、優れた酸化剤であるがゆえの短所も併せ持つ。次亜塩素酸の長所を有効に活用するためには、むしろ短所を理解することの方が一層重要である。」と。

5.終わりに

もう一度冷静になって振り返りませんか? そして、自らの判断で情報が正しいか否かを判定するようにしてください。
政治家たちの利権? この商品を販売すれば儲かりそうだ。これをこんな形で報道すれば視聴率が稼げそうだ。等々、社会には多くの情報がそれぞれ理由を持って飛び交っています。
それを正しい基準をもって咀嚼し判断することが求められています。弊社は、そのお手伝いは真摯に行いますので、ご遠慮なくお尋ねください。お待ちしております。
service@wahw.co.jp

以上